See you after school. 15:本日、晴天なり 理咲は3日前に弓道部へ入ったばかりの後輩たちがトレーニングする様子を見守っていた。ふと空を見上げると、そこに広がるのは鮮やかな、青。 春霞とは無縁の青空は、見ていてとても気分がいいものだ。 「理咲ー、交代の時間ー」 呼ばれたので振り返ると、麗華が両手を大きく振っていた。早く戻ってきて練習しなよ、という合図だろう。最近ますます部活動に参加する時間が減ってしまった理咲を、 麗華はいつもフォローしてくれる。 理咲が心の中で「ありがとう」とお礼を言いながら頷くと、遠くで麗華がにっこりと笑っていた。 春は晴れの日が続かない代わりに、雨の日も続かない。三寒四温とはよく言ったものだ。 昨日までは雨がしとしとと降っていた。週末は晴れていて、木曜日は曇だった。 そう・・・空一面に広がった雨雲が印象深かった、曇の日。あの日から理咲の生活は忙しさを加速させたのである。 責任をもって生徒会の仕事がしたいと主張した理咲に対して、増田は「わかった」 と言った。「頼りにしてるよ、副会長」 とも。 その言葉が現実のものとなったのだ。 例えば、一昨日。理咲の放課後は中等部横の総合グラウンドで始まり、総合グラウンドで終わった。これもすべては陸上競技大会の会場点検と打ち合わせのためで、 当日の運営は体育委員会が主体となるにも関わらず、万が一の事態に備えて生徒会役員も同席することになったからだった。 生徒会の仕事について隠し事をしないという約束どおり、事務連絡を寄こしたのは増田だった。 しかも「来れるか?」 ではなく、「来るように」 との命令口調だったため、理咲は一瞬呆気にとられた。 態度の切り替え方が見事すぎる。 その事務連絡が行われたのは金曜日、つまり約束を交わした翌日のことだったので、理咲は余計に驚いた。 が、それもすぐに歓喜へと変わって、現在に至る。 弓道部が活動している時間帯に理咲が練習できることは少なくなった。本当に、増田に本音をぶつける前と比べものにならないほど。 逆に生徒会の仕事量は多くて、家にまで持ち帰る事態に陥っている。しかも、そのほとんどが雑務だというところが溜息を誘うポイントだろう。 しかし、理咲は後悔などしていなかった。 溜息が漏れることもあるけれど、それでも忙しない毎日を楽しんでいる。 それはきっと、理咲自身で選んだことだからだ。 増田と昔のように気兼ねなく会話できることも大きいかもしれない。 そして気分が晴れやかな所為か、ここ数日は部活の練習量は減っているのに的への命中率は上がっていた。 (不思議・・・) 1週間前の気鬱が嘘のようだ。たったそれだけのことで少女の世界は大きく変わる。 澄んだ青空に浮かぶ真っ白な雲のように、今の理咲ならどこまででも飛んでいけそうだった。 |