WORLD END とうとう分かれ道まで来てしまった。 今はどちらに進んでも見渡す限り一面の草原だが、一方はやがて海へと続き、もう一方は南へと下る道だ。会話もなく歩いてきた私たちは、ここでようやく足を止める。 私は海が見える街へ行こうと決めていた。 相方の男は南の道へ。 行った先でばったり鉢合わせ、なんてマヌケな事態を避けるために打ち合わせ済みだから、おそらく二度と顔を合わせることはないだろう。 「元気で」 そう云って左手を差し出す男。 齢18で時の歩みが止まった秀麗な顔と、久しぶりに正面から向かい合った気がする。 差し出された手をとって、軽く握手を交わした。 「・・・・・お前も」 私たちは不老不死で、身体的にはこれから先も変わらず壮健であることなど明白だ。しかし昔のように『私を誰だと思っている』と返すことはできなかった。 心配しているのだ。ルルーシュが、私のことを。この先ずっと笑顔で生きていけるのか少し不安に思っている私を見越して。 それに対して皮肉を返すことなど、今の私にはできない。 ルルーシュと暮らすうちに、私は強くなった。愛される歓びを知り、誰かを頼ることを覚えた。 しかし、ルルーシュと暮らすうちに私は弱くもなった。ひとりの寂しさを素直に寂しいと感じるようになり、それが我慢できなくなった。 いい変化だ、とルルーシュは云う。私もそう思うが、やはり不安は募るのだ。だからといってこれからも共に生きていく気力はないけれど。 「じゃあな、C.C.」 ルルーシュは淡く笑んで、繋いだ手をそっと離した。私はその手の感触を感じ取ることしかできない。 動けなかった。 胸のうちに感情が溢れすぎて、身じろぎすらできなかった。 ありがとう。 愛してる。 さよなら。 傍にいて。 息災で。 独りにしないで。 浮んでは消える言葉の数々に、私は溺れた。 次第に小さくなる背。 C.C.、と呼ぶ声が、今も耳から離れない。 愛していた。今も愛している。だからこそ選択した決別。 思えば、随分と長く共に居たのだ。 長く共に居すぎて、互いを傷つけることが多くなった。それでも同じ境遇の者同士、夫婦同然の生活を始めるに至った経緯も考慮して、このままふたりで生きるのがベストな形だと思って暮らしてきたけれど。 やはり、一度感じた違和感を拭い去ることはできなくて。 ある日、ルルーシュと眼が合った瞬間に解ったのだ。このままではいけないのだと。ルルーシュも同様だったようで、理由を一から十まで並べたてることもなく離別の日を決めた。 この先50年ほどの予定を立て、出立の準備をする、その間も何も感じなかったのに、今になって寂しさが込み上げてくる。 足が泥沼に嵌まったように動かない。 『 私を孤独から救い上げてくれた男だった。 契約や約束だから一緒にいるのではなく、好きだから一緒にいるのだと云ってくれた男。 『C.C.・・・』 私の弱さを知っているから、ルルーシュは振り返らない。 小さくなる背を引き止める術を私は持たない。 涙で視界が歪む。 頭の中が白く翳んでいくようだ。 『C.C.』 ルルーシュ・・・私は、 |