果たしてコトの真相は?




 夜の街が賑わいを見せ始めるこの時間、セントラルシティの裏通りにあるBARUSHIGOYAの扉を、ベルを鳴らしながら一人の男が押し開ける。一瞬にして店の女に 囲まれた男を一瞥して、この飲屋の主、マダム・クリスマスはスパーッと煙草の煙を吐いた。


「久しぶりだね、ロイ坊」
「こんばんは、マダム」
「随分と疲れた顔をしてるね。何飲む?」
「いつものを。今日は特殊な軍事演習があって、中央まで呼び出されたから疲れたんだ」
「国家錬金術師同士の対決かい?」
「さすがマダム、何でもご存知というわけか」
「ええー、じゃあロイさんも戦ってきたのね? お疲れさま〜」
「ありがとう。そう言ってもらえると中央まで来た甲斐があったかな」
「そーお? 嬉しい。あ、ロイさん寝不足かしら、すこーし隈ができてる」
「本当かい? 困ったなぁ」
「どうせ相手はエリザベスちゃんなんだろう?」
「そうなんだ。昨日は一段と熱い夜だったから」
「あら、羨ましいわぁ」
「それが今夜逢えないのが寂しいのか、もう限界だって言ってるのに全然放してくれないんだ」
「だが付き合ってやったんだろう?」
「まあね。彼女の惚けた眼差しと甘い声があれば限界を超えられるよ」
「えぇえ〜、エリザベスちゃん、すっごく大人しいカンジがするのにぃ」
「いや、逆だよヴァネッサ。彼女は今まで知り合った女性の中で一番情熱的で可愛いひとさ」
「やーん、入り込む隙がないじゃない」
「ははははは」
「まったく、惚気なら他でやっとくれ」


 マダム・クリスマスのうんざりした顔に、ロイは満面の笑みを返した。










 ほぼ同時刻、イーストシティ。
 エリザベスちゃんことリザ・ホークアイ中尉は自宅でシャワーに濡れた髪を乾かしていた。


「大佐は今ごろ何をしてるのかしら・・・」


 昨夜は頑張らせ過ぎたかもしれないと思いつつ、あとむこう数日のことを考えると仕方がないか、とも考え直す。 疲れて帰って来たところに大量の未決裁書類が待っているよりもいいだろう。


 そう。なんてことはない。
 昨夜はほぼ徹夜をして、可能な限り書類決裁に努めたのだ。眠いだの鋼のに万が一負けたらどうするんだだの文句ばかり言うロイに、リザはなんとか仕事をさせた。 その功労者であるはずのリザ自身は東方司令部からもかなりの人数が国家錬金術師の直接対決を観戦しに中央まで出払ってしまうことから司令部に少しでも人員がいたほうがいいだろう と考え、不本意ながらもロイの護衛役はハボックとブレダに任せてイーストシティに残ってしまったのだが。
 しかし今日、特に残業もなく定時で上がれたリザはのんびりと夜を過ごしていた。
 今日はちょうどヒューズの愛娘エリシアの誕生日だ。今頃ヒューズ家で親友同士、仲良く酒を飲み交わしているに違いない。そう考えたリザは、そのとき中央の飲屋にて 自分が話のネタになっていると知らずに、ロイの姿を思い描いて優しく微笑むのであった。

















fin.

















2007/9/ 7 up