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君には笑顔がよく似合う やっと弟子入りを認めてもらえた師匠には、娘さんがひとりいた。 とても可愛い子だ。春の光みたいにきらきら光る金色の髪と、暖かい紅茶色の瞳。肌は白くてつるんとしていて 人形みたい、というか、人形よりも可愛い子だ・・・・・女の子の玩具である人形を目にしたことはあまりないけど。 でもたぶんあの子が人形よりも可愛いのは、人形と違って笑ってくれるからだと俺は思う。満面の笑みはむしろ珍しくて、はにかんだ笑顔しか 見せてくれないけど、それはあの子が今ここに生きていて、感情があるっていう証拠だ。それがとても大切なことのように感じる。 「あの・・リザ、さん。師匠にインクを買ってくるよう言われたんだけど、この辺りで一番近い文房具屋はどこかな?」 「・・・・・・」 「・・・・?」 「 「え?・・あ、じゃあ、リザちゃん・・・インクを 「“ちゃん”付けも子どもっぽいから嫌です。呼び捨てで構いません」 「・・・師匠に怒られると思うんだけど・・」 「なぜ父が怒るんですか?」 こんな会話の末に決まった『リザ』という呼び方に、あの子はいつも微笑みで答えてくれた。 『リザ』と呼び始めたばかりのころは師匠の視線が鋭かったけど(妄想じゃなくて)、今では自然過ぎて気にならなくなったようだ。兄が妹に呼びかけてるみたいなものだから。 リザは可愛い。そして笑顔がよく似合う。 大人になっても、それはきっと変わらないんだろうな、と俺はぼんやりと考えた。 fin. 2007/8/ 6 up |