私たちは
          同じものを見つめている


































 大地に寝転がると眼前に広がる。
 どこまでも続く、晴れた空。


 隣に横たわる彼女は、まるであの青空のようだ。


 彼女の瞳は鳶色で、髪は光そのもののような金色。
 彼女のイメージではないと言われるかもしれないが・・・
 だが、私の中での彼女は、昔も今も“青空”のイメージなのだ。
 心にまで染渡るような透明さや、優しく包み込まれている感覚を覚えるところが似ているのだと思う。


 手を伸ばしても、掴めない空。
 純粋に憧れ、愛しさが募る        この青い空・・・・・


































 大地に身体を預けると眼前に広がる。
 遥か遠くまで続く、晴れた空。


 隣で寛ぐ彼は、まるでこの青空みたい。


 彼は髪も瞳も闇夜のような漆黒で、空色ではなくて。
 彼のイメージではないと思われるかもしれないけれど・・・
 でも、それでも私の中での彼は、昔も今も“青空”のイメージなのだ。
 何があっても揺るがない真っ直ぐな心や、遠いところまで見ているような眼差しがどこか似ていると思う。


 手を伸ばしては、いけない空。
 純粋に惹かれ、傍に在りたいと願う        あの青い空・・・・・































































 めずらしく仕事がスムーズに片付いてしまった、この日。
 これまためずらしいことに、ロイとリザは司令部の中庭にいた。


 緑の香に包まれる、柔らかい草の上。
 頬を撫でる、麗らかな風。
 遮るもののない視界の先に広がるのは、きれいなきれいな、本当にきれいな青い空。


「・・・偶にはゆっくりと空を眺めるのもいいものだろう?」


 しばらく無言だった二人の間に、ようやく言の葉が戻った。
 しかし長年の付き合いゆえか、性ゆえか、葉はすぐさま地に落ちる。


「そうですね・・・・・就業時間中に許される行為ではありませので大変心苦しいですが、 それでも仕事が粗方片付いていると思えば多少は楽しめます」
「ははっ、それはよかった」


 本心を厭味に摩り替えることも、それを軽く受け流すことも、二人にとっては当たり前の日常で。
 むしろこの遣り取りがないと何かが狂っているように感じる。
 しかし       ・・・


 だけれども     素直になれない己に苦しさを感じてしまうのも、また事実なのだ。


 昔はもっときちんと話ができた?
 偽りのない言葉で言えた?
 皮肉なんて交えずに?
 何ともない振りをしないで?
 眼を逸らさずに?
 もっと近くで?


 飾って、隠して、無いことにした(しようとした)この心を、もし。
 もし、形にすることができたなら。
 それはなんて素晴らしいことではないだろうか!!






 相も変わらず太陽からは光が零れ、空は青い。
 態度に出しはしないが、どちらともなく妙に緊張し、顔に熱が浮く。


「ですが・・・・」
「・・ん?」


 先に口を開いたのは、リザだった。
 ガラス玉のようにキラキラした大きな瞳に青を映しながら呟く言葉は、緑の風に溶けながらもロイの 耳に届いたようだ。


「今は、この青空をずっと眺めていたいです」
「そうか」
「えぇ」
「・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「私も、できればずっと眺めていたい」
「・・厭きませんか?」
      いや・・・私は、どれだけ眺めていても飽きないくらい青空が好きなんだ」
「そうですか」
「あぁ」
「・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・私も、好きですよ。大佐」






 視線も絡まず、距離も近づきはしなかったけれど。
 少しは素直に、なれただろうか?































































 きれいにきれいに晴れた日の、午後




        私たちは
          同じものを見つめている


























青空見上げて





fin.













(隠れ両思いの、似た者夫婦)


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