ルルーシュは悩んでいた。 後悔5割、躊躇3割、その他2割といったところだろうが、正確な内訳は誰にも・・・ルルーシュ自身にも分からない。 しかし、彼の手の中にある物体が悩みの種であることは明白であるわけで。 クローバーの白い花で作った、冠。 柄にもないことをした、とルルーシュは苦々しく思った。 「C.C.? ・・・・・会わない・・こともない、かもしれないけど・・・どうしたんだい?」 「これをお渡ししたいんです」 嬉しそうに笑いながら、ナナリーは胸に抱えた花束を差し出した。 白い花をつけた、クローバー。しかも、白いレースのリボンまでついている。 それを見たルルーシュの脳裏に10日ほど前の光景が浮かんだ。あれはキョウトとの会合が長引いたうえに、C.C.がナナリーに接触してしまった日のことだ。ナナリーにもらったと言って、C.C. がクローバーの花束を持っていた。 「C.C.さんはクローバーがお好きみたいでしたので」 また同じものでは喜んでいただけないかもしれないのですけれど・・と表情を曇らせた妹に「そんなことないよ」と言ってから後悔した。 このままの流れでいくと、この花束は確実にC.C.のもとに行く。いや、それはどうでもいいが、ナナリーがC.C.と接触してしまうことだけは避けなければならない。 妙な危機感と使命感を感じたルルーシュは、結局そのまま花束を預かってしまった。本日2度目の後悔である。 しかし、自室に戻ったルルーシュを迎えたのは間の抜けた顔をした黄色いヌイグルミだけだった。部屋の主の言うことをまったく聞かない居候に怒りが込み上げてきたが、今日ばかりは不思 議な安堵感を噛みしめる。妹からの預かりものを渡すだけ、云わば子どもの初歩的なお遣いと同じことであるのに、なぜこんなにも落ち着かないのだろうか。 いつもであればパソコンに向かって情報収集を始めていてもいい時間だというのに、手の中にあるささやかな花から意識が離れなかった。そして何故か、本当に何故だか解らないが、白いリボン をほどいて冠を編み始めていたのだ。 以前C.C.が持っていった花束は、彼女が戻ってきたとき、その手になかった。処分してきたのか、それともマオの献花にしたのか、ルルーシュは知る由もないし、知る気もない。ただ、C.C.が すぐに白い花を手放してしまったことだけは事実として記憶している。だから、というわけではないが、せっかくナナリーが摘んだ花なのだ、あっさりと処分されないように何かしてやりたいとは思っていた。 それでも・・・ (・・・・・だからって、なんで花冠なんだ・・) 自分自身の行動を理解できない。頭で行動することが圧倒的に多い彼にとって珍しいことだ。 しかし、今更どうすることもできない。解いても跡が残っているだろうし、捨てるなど言語道断。 (余計渡し難くしてどうする、俺・・) 渡した時の反応が予想できないからこそ、悩みは深まる。 |