ちいさな理想郷




 ふと窓の外を見遣ったルルーシュは、庭先に嫁と幼い娘の姿を見つけた。
 背の低い野草がふかふかと茂る地面に、ふたりは並んで座っている。空を見上げながら時折雲を指差していることから察するに、あの雲は何に見える、 とでも話しているのだろう。 ふたりの仲睦まじい光景は自然とルルーシュの笑みを誘った。
 こうやって見ると母娘ではなく歳の離れた姉妹のように見えるのは、C.C.の背中が小さいからだろうか。最近は育児のために髪を結んでいるものだから細い背中がすっかり 見えていて、だから余計に小さく見えるのかもしれない。
 ルルーシュが見守る先で、幼子がC.C.の袖を引く。ねぇねぇ、おかあさん。そんな声が聞こえるようだ。
 振り返った母親の耳に届くように、幼子は思い切り身体を伸ばす。そして、もみじのような手を口の両側に当て、なにやら耳打ちをした。
 途端に弾ける幼子の笑顔。それに負けないくらい魅力的な、C.C.のやさしい微笑み。
 別にだれが聞き耳を立てているわけでもないのに内緒話をする理由も、何がそんなに楽しいのかも解らないけれど。
 なにやら楽しそうな嫁と娘を眺めているだけで、ルルーシュもしあわせな気分になれるのだ。




 ルルーシュが守るちいさな世界は、今日も平和だった。












『ちいさな理想郷』




2011/ 9/28 up