メランコリーに花が咲く 与えられた部屋に戻るなり服を脱ぎ散らかす 『C.C.!! 考えてみたらアンタがバニーやった方が話早かったんじゃないの!?』 宦官とその部下が訪れているとは露知らず、バスタオル一枚で部屋に飛び込んで来たカレンの第一声。 今更そんなことを云い出すなんて、もしかしなくても馬鹿だろう・・と思わなくもなかったが、口に出せば猪突猛進な少女がさらに食ってかかってくるのは 目に見えていたから、その場では適当に揶揄して注意を逸らせた。 しかし 「・・・・それができたら、初めからしている」 多少なりとも口惜しく思っている節があるものだから、表情は自然と不機嫌なものになるのだ。 もちろん、自分が置かれている状況が解らないほどC.C.は疎くない。 シャルルが24時間体制で機密情報局にルルーシュを監視させているのはV.V.の魔の手を退けるためというのが大きな理由だろうが、監視を付ける手前、 どうしてもC.C.捕獲という名目が必要になる。だから、命令を受けた者に血眼になって探されることは充分すぎるほど解っていた。 学園外でも違和感なく監視できるように弟役まで付けられたのでは、迂闊に手も足も出せなくて。 結局、機密情報局の隙をついてカレンがルルーシュを連れ出すしか手段がなかったのだ。 「・・・・・・・・・」 血の臭いが立ち込める薄暗い空間での再会。 しかし、回りくどい手段に拠らなくても済んだのなら、C.C.はすぐにでも逢いに行った。 契約はまだ不履行になっておらず、むしろあの非常時に『独りじゃないだろ』と云ってくれた共犯者のためなら、バニー服だって何だって着るくらいの心積もりは あった。 ・・・・・今回はどうしてもできなかったというだけで。 「アイツを取り戻せたんだ、大きな進歩じゃないか・・」 頭の中で鳴り止まないカレンの声に反論するように呟いて、C.C.は目を瞑る。 C.C.たちが大きな代償を払って取り戻した男は、いまだ監視を支配下に置けないのか、なかなか顔を見せないけれど。 それでも、手を伸ばせば届く距離に共犯者が戻る日はそう遠くないのだろう。 「・・・・・・・・・」 恨み言のひとつでも云いたくなる気持ちを抑えて、C.C.はゴロリと寝返りをうつ。 唇の上には、共犯者のそれに押し付けた感覚がまだ少しだけ残っていた。
『メランコリーに花が咲く』 2011/ 3/16 up |