女の長い髪に指を絡めて、ルルーシュは溜息をひとつ零した。
 無駄に大きなベッドには充分なスペースがあるというのに・・・・毎晩ご丁寧に背を向けて寝ることはないんじゃないかと思う。
 アッシュフォード学園のクラブハウスで生活していた頃と何ら変わらない態度。
 ナナリーとさえ絆が断ち切れてしまった今となってはそんなC.C.の態度にも安堵を感じることも稀にあるが、 笑顔をやると約束した相手に対する態度としては、やはり正しいと思えないのだ。


「・・・・・・・・ッ」


 髪を梳くその手で何気なくC.C.に触れそうになって、しかし寸でのところで我に返ったルルーシュは、ヒヤリとした感覚を胃の奥に残しながら手を引っ込めた。
 ふと気付けば、傍らのぬくもりを求めている。
 無意識かつ発作的な衝動はゼロ・レクイエム計画が終盤を迎えたあたりから顕著になって、最近は毎晩同じ葛藤に苦しんでいた。




         死にたくない、と。
 C.C.に触れてしまったが最後、絶対に吐露してしまうだろう。
 己に科した罰でありながら恐怖を抱いている弱さを、C.C.の前でみっともなく曝け出してしまうだろう。
 そんな真似だけは絶対にしたくないとルルーシュは思う。
 我に返るたび思い出す、『私を失望させるな』と蔑む声は、もう二度と聞きたくない。




 ふぅ・・、と、もうひとつ溜息を零したルルーシュは、寝返りをうってC.C.に背を向ける。
 しばらくして訪れた眠りは深いものではなかったけれど、隣の女がぽつりと零した呟きを拾えるほど浅くもなかった。






「・・・・・この、意気地なしが・・」












2011/ 2/27 up