極限まで張りつめた空気がキリキリと音を立てているようだ。
 対峙したナナリーの表情は厳しい。         しかしそれ以上に張り裂けそうな哀しみを必死に抑えようとしているようにも見える その貌は、微かだが確かに青ざめていた。
 ルルーシュよりも青味がかった菫色の双眸が寸分の狂いもなく兄を見据える。
 そこに宿るのは        失望と、譴怒。




「お兄様は・・・・C.C.さんを、選ぶのですね」










 床は突如として抜け落ちた。
 ナナリーとは物理的に距離がありすぎて、傍らにいたC.C.を抱き寄せることしかできなかった。
 庇い、庇われ、奇跡的に軽い打身と擦傷だけで済んだルルーシュが目にしたものは、広く豪奢なブリタニア皇宮の一室を見る影もなくさせるほど拡がり積み上がった 大小の瓦礫と、その頂点でナイトオブセブンに抱き上げられた格好でルルーシュを見下ろすナナリーの姿。
 以前の自分であればたとえ手が届かなくてもナナリーの方へ駆けていたと、絶対的な自信があるから。そしてナナリーもそれを知り、同時に望んでいたのだと 直感してしまったから。
 だからルルーシュは、いつのまにか心の奥底に息衝いていたC.C.への想いと、ナナリーも大切なのだとどれだけ言葉を重ねても嘘にしか聴こえないことを悟ったのだ。










「ッ、      ナナ、リー・・」




 打ち所が悪かったのか、C.C.は気を失ったまま腕の中でグッタリとしている。
 一旦退却するにしても、不利だ。
 そもそも瓦礫に埋もれたこの部屋の出入り口がどこにあるのかさえルルーシュには分からない。
 背に、冷汗が伝う。


「・・・スザクさん」


 ルルーシュを捉えたままナナリーが促すと、スザクは小さく頷いてナナリーを適した瓦礫に恭しく腰掛けさせた。
 こちらもまた冷めた緑玉石がルルーシュを見下ろす。




 白の騎士に下された命令は、いっそ死を宣告してくれた方がよほどマシなくらい残酷なものだった。








「とても残念なことですが、そこの反逆者を捕らえてください」












『FURY』


ルルシー vs ナナリーとスザク




2010/ 6/12 up