Maybe,it's the last ・・・




 彼は何かを思い出したかのように、フラリと姿を見せる。
 幽閉施設(あんまり牢屋ってカンジがしないのよね、普通に快適だし)に入れられて3日目くらいから莫迦らしくなって、まともに日にちも数えてないけど。 でも、あんたまた来たの?って呆れるくらいには頻繁に顔を見せていると思う。
 神聖ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアで、私にとってはいけ好かないクラスメイト兼生徒会メンバーだったルルーシュ・ランペルージで・・・


            黒の騎士団わたしたちが追放した、指導者ゼロ


 大切にしてた妹もねじ伏せて、ホント何やってんのよ、と叫び散らしたのはいつのことだったか。
 ・・・だけど、それすら暖簾に腕押し、糠に釘。聞く耳なんてサラサラなくて、彼はちらりと一瞥をくれただけで通り過ぎていった。
 今でも徘徊の理由は不明。
 ゼロの仮面以上の仮面を身につけたらしいルルーシュは誰からの罵倒にも顔色ひとつ変えることなく(玉城は喚き過ぎるから、私たちにも迷惑なんだけど)、 でも、まるで何かを確認してるかのように行き来するのだ。だから、会話をしようと思えばできるわけで。
 訊きたかった・・でも訊けなかったことを訊く決心をようやく固めた私は(何でこんなに躊躇してるのか、自分でも疑問)、彼の来訪を待ち構えていた。
 そして      ・・・










「どうしてC.C.とスザ・・・・・ううん、C.C.・・だったの?」


 ひとつくらい質問に答えなさいよね、と睨みを利かせて足止めしたルルーシュに、私はこの言葉を投げつけた。
 我ながら、なんて実りがない質問だと思う。でも、問いただしたいことのほとんどはクラブハウスで答えてもらえないと知ってしまって、かつ今一番答えがほしいものがこれ なのだから、仕方がない。


「どうしてC.C.は・・傍に置いているの?」


 ルルーシュとスザクが親友だったってことは知ってる。ブリタニアの捕虜になってたときにナナリーからも話を聴いているし、白兜のデヴァイサーだった枢木スザクに ゼロがあれだけ拘った理由も・・ゼロがルルーシュだって知った今では納得している。だからスザクがルルーシュ側に就いたとき、まさかって思ったのと同時に、やっぱり って思う自分がいた。ほら、男って喧嘩して友情を深めてくようなイメージがあるじゃない? だから銃向け合った仲でも和解可能なのかもなぁ、って。
 ・・もちろん腹は立ったけど。悪い冗談はやめてよ、とも思ったけど。
 でもC.C.は       なんでルルーシュ側に居られるんだろう?
 ふたりの間に入り込めない空気があったのは認める。C.C.がC.C.じゃなくなったって語ったときのルルーシュの落ち込みぶりはナナリーのことだけが原因じゃないって 思うし、C.C.はC.C.でルルーシュのこと好きだし(あ、これ私の中で確定事項だから)。
 ・・・でも、C.C.だけじゃなきゃダメってこともないんじゃないかって、今でも時々考える。
 あのときクラブハウスで納得いく理由さえ示してもらえれば・・私だって仲間になったのに、って。敗戦側にいるのが嫌だとか、幽閉生活が嫌だとかじゃなくて、 本当のこと全部知った上で、自分で決めたかったのだ。
 けれど、私には何も知らされなかった。だから余計、C.C.が知った顔で向こう側にいるのが許せないのかもしれない。
 嫉妬? ・・・そうね、嫉妬と解釈しても違和感ないかもね(私としてはちょっと違うと思ってるんだけど、的確な言葉が見つからないから嫉妬でいいわ、もう)。 でも、だからといって何かに当たり散らしたいわけじゃなくて。
       私は知りたいだけなのだ。C.C.は何でちゃっかりルルーシュ側にいるのか。今更かもしれないけど、あの空中戦するまでC.C.がどこに居たかなんて 私知らなかったんだもの。


「C.C.には全部話してるんでしょ? なんでよ?」


 それくらい、教えてくれたっていいじゃない。
 ねぇ、ルルーシュ・・!






       俺が俺で、C.C.がC.C.だから・・・・だろうな」




 私の声が一方的に響いていた中で、やっと望んでいた声が耳に届いた。
 また分かんない言葉で誤魔化そうとしてっ・・と憤慨しそうになったけど。でも、ルルーシュの眼はまっすぐに私の眼を捉えていたから。
 あぁ、こういう表現しかできないんだろうな、と。なぜか心が凪いでしまった。


「それって・・・・・C.C.の前で仮面はいらないってこと?」


 だから言い換える。私が納得しやすいように。
 そしたらルルーシュは笑った。声ひとつ発さず、とても静かに。いつも彼が浮かべていた皮肉めいた笑みと同じ貌だったけど、私には本心で笑っているように見えたのだ。
 意外な返答のしかたに呆気にとられていると、ルルーシュは無言で立ち去ろうとした。ちゃんとした言葉での返答をもらってない私は慌てて呼び止めようとして、見事失敗。 この強化ガラスさえなければ・・と悔しがっても、もう遅い。




「・・・ずいぶんな返事じゃない、ルルーシュ・・」






 私がキスしても無反応だったくせに・・と思わず口走ってしまった呟きは、記憶から永遠に抹消することにした。
 











『Maybe,it's the last ・・・』


どうしても訊いておきたかった、ふたりの関係




2009/ 3/15 up