深愛




 眼と眼が合った次の瞬間には、頬に鋭い痛みが走った。
 絶対的な治癒力と再生力をもつ身体でも痛覚は人並みに存在することを、ルルーシュは改めて思い知る。・・・が、今はそんなこと、重要性の欠片もない。
 無言で踵を返した女を追う方が先決だった。


        っ、C.C.・・!」


 細い肩に手を掛けて、引き止める。
 ふわりと舞う、若草色の髪。彼女が頑なに顔を背けていることと相俟って、表情は窺えない。
 しかし、その華奢な身体が震えていることだけは、掌から感じ取っていた。
       呆れているのかもしれないし、怒っているのかもしれない。
 今やルルーシュにとってC.C.は最も近しい存在であるが、感情を読むことに関しては一方的に不得手のままだった。まして貌や声という手掛かりが皆無である状況下で ルルーシュに出来ることは、自発的に接触しながら探りを入れることだけ。 だから逃げられることのないように細心の注意を払いながら、ルルーシュはゆっくりとC.C.の正面に回る。
 そこで、見てしまった。今にも零れ落ちそうなほど揺らめいている、眦に溜まった涙を。
 不意に胸が締め付けられる。C.C.が何も言わないから、余計に。
 このときのために用意していた説明という名の言い訳は頭の中で空回りを続け、一向に形になる気配はなかった。言葉にできたのは、「悪かった」の一言だけ。
 その瞬間、C.C.のやわらかな頬に雫が伝ったから      ・・・


 生乾きの血が拘束衣に移ることなど気にもせず、ルルーシュはC.C.を無言のままに抱き締めた。












『深愛』


コードしっかり継承かつ、C.C.は知らなかったver.
一発殴られてもおかしくはないと思う




2009/ 1/10 up