ブリタニアの拘束衣は袖まわりが非常に大きい。
 拘束性を高める目的で多くのベルトが施されているからだ。それはブリタニアにおける一般的な囚人服との大きな差異である。
 生地は厚手で丈夫。
 袖まわりは大きい。
 そして、袖の先に金具やらベルトが付いている。となれば、それらは腕を上げれば重り同然の役割を果たし、重力に従った袖は中身を隠したりはしない。
 肘の少し上まで露わになった女の腕。
 頼りないくらいに細く、白い。しかしどれだけ細くても骨と皮だけの病的な細さではないし、いくら白くても蝋人形とは違い、皮膚の下に血が通った色をしている。

 生きている。
 この女は、生きている。
 老いもしなければ死にもしないが、生きているのだ。


「・・・・・」


 ベッドの上。
 向かい合わせで座って、衣服の上からではなく直接腕を握る男に、C.C.は何を思っているのか。ただじっと見つめてくる女の真意は不明だ。
 同時に、自らが何をしたいのかも不明だった。
 拘束衣の重い袖口から覗く腕を視界に収めて、気付けばそれに触れていた。
 どうしようもない。どうしようとも思わない。性的な意図を含まない、ただの身体接触。C.C.もそれを解っているからこそ、琥珀の瞳に透明な光彩を湛えたままで男を見ていられるのだろう。
 すべてを見透かしているような態度が気に食わない反面、それでこそこの女だと小気味良く感じているのも事実。それは浅からぬ付き合いの長さを物語っているようで、むしろルルーシュの方が動揺した。
 視線を女の顔から腕に移す。
 この期に及んで熱を帯びない肌。
 しかし内に宿した体温は確かに人と変わりがなくて。

 ああ、確かに生きているのだ、と実感した。






2014/ 8/10 up