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 「動くな」という無機質な声と後頭部に押しつけられた硬質の物体に、C.C.は内心で舌打ちをした。
 油断していたわけではない。むしろ警戒心は普段より高かった。それにも関わらず背後を取られたのは、偏に相手の身体能力が野生の動物並みに高かった からだ。
         枢木スザク。武術だけでなく、気配を絶つことにも長けているらしい。
 彼女の共犯者とはまたタイプの異なる曲者である。


「手を上げろ」


 窓も何もない、それこそ床と壁の境界すら判断できない、ただ白いだけの亜空間においても、男の声はよく響いた。
 望ましくない存在とふたりきり。実に望ましくない状況だ。
 ・・・いや、この亜空間に足を踏み入れた瞬間から状況は芳しくなかった。明らかに異質なこの空間は、おそらくV.V.のよるものだろう。 さすがは世界の中心と謳われるブリタニア皇宮、なんでもありだな・・などと皮肉を言っている場合ではない。これは相手側が仕掛けた罠なのだ。 魔女C.C.、もしくは反逆の皇子を捕まえるための。


「繰り返す        手を上げろ」


怒りを殺した男の声は、いっそ不気味なほど冷静だった。男の命令を無視して微動だにしなかったC.C.の小さな頭に、さらに銃口が突き付けられる。
 本気で不本意ながら、C.C.はしぶしぶと従った。
 銃は怖くない。死ぬことも、それに伴う痛みにも慣れている。しかし、肉体の再生にはどうしても時間が掛ってしまうわけで、今はそのタイムラグこそが命取りだった。 気がついたらV.V.とブリタニア皇帝の眼前、という状況もおおいに考えられるのだ。
 それだけは、絶対に避けなければならない。


(ルルーシュ・・・)


 ナナリーを捜すため別行動をしている共犯者の名が、自然と心に浮かぶ。
 改竄された記憶を戻してからも、行動を共にすることが稀になった。だから今回の作戦でも別行動をとることに異存はなかったというのに。
 今になって、こうも後悔することになろうとは・・!


(・・・お前の親友というだけあって、この男も一筋縄ではいかない、な・・)


 重みを増す沈黙の中、如何にして背後にいる枢木スザクの隙を誘うか。
 C.C.の思案は続く。
 一番効果的なのはショックイメージを見せることだが、両手は封じられている。それにおそらくC.C.の特殊能力はV.V.からすべて聴いているのだろう。 姿すら確認させない位置取りがいい証拠だ。


(・・・ルルーシュ・・・)


 しかし、彼ならば、きっとこんな危機的状況においても白旗を掲げることはない。敵から卑怯だと罵られても、あらゆる手段を尽くして活路を作り出す。
 だからこそ、C.C.は彼を共犯者と認めたのだ。


(早く、お前に・・・)


 彼女の願いに最も近づいた、共犯者に。
 優しい世界を目指しながら、自身は魔王になると言ってくれた、黒の皇子に。




 逢いたい、と、C.C.は心から思った。












『ENCOUNTER』
スザク v.s. C.C. で、シールル




2008/ 5/23 up