その理由を徹底解明! 明けてもピザ。暮れてもピザ。ピザピザピザピザピザ。なんで太らないのよおかしいんじゃない、と不平不満をぶつけたくなるくらいピザばっかり! 「ちょっとC.C.! この空き箱片づけてよ!」 必然的に発生する空き箱の多さにも辟易しちゃうわ! 「まったく・・・なんでピザなのよ・・」 声にならなかった嘆きのあとには、経済的にも苦しいのに、と続く。一時は日本奪取に王手をかけた黒の騎士団も、今となっては虫の息なのだ。 やっぱり黒の騎士団にはゼロが必要であると。そう、つくづく実感させられた。だから私たちはゼロ復活のために水面下で活動を続けている。 捕まった仲間のためにも。犠牲になったたくさんの生命のためにも。そして、今を生きる日本人のためにも。 ・・・・・・・・・・・だというのに・・・。 「もはや私の一部だからな、ピザは」 冷めた顔でさらっと返事すんじゃないわよ、このピザ女! 「だめ、ちょっとは減らして。というか減らすわ」 「現状でも我慢しているんだぞ。これ以上は無理だ」 「だから、お金がないんだってば!」 いくら大国ブリタニア相手に正面切って喧嘩ふっかけた黒の騎士団メンバーでも、腹が減っては戦もできない。その点に関しては私も同じだ。 だけど、1個のおむすびをみんなで分けあって食べているような、この状況の下。デリバリーのピザを呑気に食べてる女が横にいて冷静でいられるほど、私は忍耐強くない。 そうよ、我慢の限界なのよ! 「何をそんなに苛立っているんだ? カレン」 「 腹が立つのも当然じゃない。 ああっ、本当にルルーシュはこんなのを匿っていたんだろうか。元からあいつの神経は理解できなかったけど(あ、ゼロは別ね!)、 最近さらに輪をかけて理解できなくなった。細かいことにまでねちねちと拘りそうな男が、よくC.C.を放り出さなかったものだわと感心すらしてしまう。 特に、C.C.のピザに対する執着はすごい。以前からピザを食べる姿はよく見かけてたけど、あれがルルーシュのポケットマネーで賄われていたと知ったときの 衝撃は大きかった。 ・・・・・・お金あるのね、あいつ。よし、今までのピザ代はぜんっっっぶルルーシュに請求しよう。 「 いや、別に間違ってもないんだけど、一番の問題はそこじゃない。 お金よりも、デリバリーってことの方が問題なのだ。これだけ立て続けにピザを注文すれば、お店側だって嫌でも顔を覚える。C.C.は目立つ容貌だし、 黙ってれば可愛いから絶対にデリバリーのお兄さんの記憶に残ってる。ここに移ってきてまだ3日目だけど、さっき私が受け取ったら明らかに「残念」って 顔されたし。・・・悪かったわね! でも、だからって取りにいくわけにもいかないのだ。作戦中ならともかく、たかがピザのためにブリタニアの監視の眼がある外をうろつくなんて、 馬鹿バカしいことこの上ない。そう、まさに愚の骨頂。 だからC.C.にはピザを諦めてほしいんだけど、これが一筋縄じゃいかなくて・・・。 「まったく・・・なんでピザなわけ・・?」 思わず同じ愚痴が零れてしまった。 ・・・・・でも、よく考えてみればすっごく重要なことよね、これって。だって、例えばスナック菓子みたいに個包装されてて保存もきくような食べ物だったら まとめ買いとかだってできるわけじゃない? 拠点を移すことが多い今の生活だと万が一ってときに邪魔になるんだけど・・・でもまぁ毎食毎食ピザをデリバリー されるよりはマシというか、なんというか。それに食料品は絶対に持って逃げなきゃいけないものでもないし。いや、なくても困るんだけど。 「ねぇC.C.、せめてルルーシュを連れ戻すまではピザ以外のもの食べない? ほら、願掛けっぽく」 「願掛けならピザの方がいいだろう」 「なんでよ!? ばばん、とでも効果音が付きそうなくらい身を乗り出した私から、C.C.は初めて視線を逸らした。 さっきまで、おもちゃ売り場で駄々をこねる子どもをみて「教育がなってないわ」と冷めた視線を送る赤の他人みたいな眼差しで私を見つめていたのに・・・なんで? 思わず怒気を削がれた私と、少し俯いて空虚を見つめるC.C.の間に沈黙が落ちる。その居心地の悪さにもう一度口を開きかけたときだ。 C.C.は本当にちっちゃな声でぽつりと呟いた。 「・・・・・ルルーシュのところで初めて口にしたのがピザだったからな・・」 ・・・。 ・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・はい? 「えっと・・・・それって・・・」 ルルーシュがC.C.に初めて食べさせてあげたもの=ピザ、で。 それをきっちりと覚えてて、なおかつ執着の対象=ピザ、で。 ということはC.C.にとってピザ=特別な食べ物、で。 だから毎食でも食べたい、ってこと? ・・・・・。 それって・・・まるでC.C.が・・・・・・ 「それは違うぞ、カレン」 「っ、・・何が?」 「だから、私がピザを好む理由だ。あいつは私にピザを食べさせた。そのときにはすでにルルーシュの部屋で過ごすのは確定していたからな、一応居候する身としては 食生活も合わせてやろうと思うのは当然のことだろう? そこで寛大な私はピザがルルーシュの常食なのだと考え、そのまま私の常食とした。 それだけのことだ。お前が思うような浮ついた感情は一切含まれていない」 他人を寄せ付けない空気を取り戻して、C.C.は呆れたように告げる。その眼が私をバカにしきっていて正直ムカッとしたけど。 でも。 (結局、ルルーシュの好きなものを受け入れようとした・・ってこと、でしょ?) それからピザ以外のものに変更しなかったのは多分ピザがC.C.の好みに合ったからなんだと思うけど・・・でも最初は、そういうことだったんだと思う。 それにしても、ルルーシュの好きな食べ物(だと思ったピザ)を好きになったっていうのは・・・ルルーシュのことを好きだって言ってるようなものじゃない? だって、好きな人が好きな食べ物は知らないうちに好きになるものだし、同じ気持ちを共有できるのって嬉しいことだから。・・・多分。 や、多分っていうのは実際自分では経験がないからなんだけど、今のC.C.を見てるとそんなふうに思ってしまうのだ。 そして・・・なんだろう、なんか凄く 「だったらピザはルルーシュの前限定にしてよ」 あ〜あ、バカバカしい、と肩を竦めれば、C.C.は少し眉を寄せてこっちを見上げてきた。その貌が少し拗ねているように見えるんだから、不思議なもんだわ。 でもそれ以上にその貌がやっぱり恋をする女の子の貌にしか見えなくて。 出会ってから初めて、私はC.C.のことを『かわいい』と思ってしまった。
『その理由を徹底解明!』 対象:ピザ好きの理由 対象者:C.C. 解明者:カレン 2008/ 9/20 up |