この日、リヴァルは朝から混乱していた。 原因ははっきりとしている。最近学校をサボタージュしがちな級友の携帯に電話を掛けたら、なんと女の子が出たのだ。・・・いや、女の子が出たことに関しては 特に問題はない。やたらモテるのに色恋沙汰とは無関係だったルルーシュに彼女ができた だから、リヴァルが衝撃を受けたのは、むしろ電話の時間帯の方だった。 朝6時52分。この、早くもないが遅くもない、学園併設の寮暮らしをしている学生の起床時間に相当する時刻に女の子が出たのだ。しかも、ルルーシュは まだ寝ている、と言って。 そんな美味しい状況下で、健全な17歳男子に妙な想像をするなという方が無理、というわけで。 (おおぉお・・・それって、つまり!?) そう、そういうことだよな・・、と、リヴァルは半信半疑ながらも納得していく。 ついでに、級友が学校をサボりがちだった理由も勝手に解釈してしまった。 (・・・って、相手だれなんだよルルーシュ〜!) 携帯越しに聞こえた声は、鈴を転がすような、愛らしい声だった。シャーリーではない。カレンでもニーナでもなく、大変喜ばしいことにミレイでもなかった。 ・・というより、聞き覚えがない。級友の友好関係をすべて把握しているわけではないが、少なくとも学園の中に該当人物はいないはずだ。顔が広いリヴァルが 朝から考えていても、まったく脳裏を掠めないのだから。 ちなみに、ルルーシュに直接聞くことは現在憚られていた。爆睡中なのである。 1時間目終了のチャイムから少し遅れて登校した彼は、自席につくなり眠り始めた。完璧なポーズをとりながら、かれこれ3時間は寝ているだろう。昼休みであるにも 関わらず昼食をとらずに昏々と眠る姿を見せつけられたら、揺すり起こす気力も涸れるというものだ。 もっとも、今となってはその爆睡具合にも納得しているのだけれど。 「複雑そうな顔だね」 「そりゃそうでしょ・・・って、スザクっ!」 うっかり関係ないことにまで肯定しかけて、リヴァルは我に返った。いつの間にか正面にはスザクがいて、しかも心配そうな表情を浮かべている。 お人好しだなとリヴァルは内心で苦笑した。 しかし、次の瞬間には脳内が劇的な変化を遂げた。お人好しな級友を手招きしながら、リヴァルはルルーシュの方へちらりと視線を投げる。 「な、スザクは?」 「え・・・何が?」 「だからさ、ルルーシュに彼女いるとかって話、本人から聞いたことない?」 「あ、リヴァルもルルーシュから聞いたんだ」 「んん?」 話が噛み合ってないぞ、とリヴァルが首を傾げる中、スザクは「なんだ結局みんな知ってるんじゃないか」と安堵の表情を浮かべていた。 一方、取り残されたリヴァルは頭の中で会話を反芻する。反芻して反芻して、飛躍したスザクの思考にやっと追いついた。 「え〜と、スザクはルルーシュの彼女、知ってるわけ?」 「まあ・・・そうなるのかな」 「まっじ!? どんな子? 名前は? やっぱ可愛い? あ、 この学園の生徒じゃないんだろ?」 「ごめん、僕も会ったことはないんだ。だからそこまでは・・」 困ったようにスザクは笑う。そこに嘘や偽りはなくて、リヴァルもよく理解しているからこそ、彼は乗り出した身を引っ込めた。 しかし・・・・・ 「でも、ずいぶん神秘的な女性みたいだよ。あ・・あと、髪は長めのストレート、かな」 長くて綺麗な髪がベッドの上に落ちてたから・・と続けられたスザクの言葉に、リヴァルは頭を横から殴られたような衝撃を受けた。 ベッド・・・ベッドって、やっぱりそういうことなんだよなはいもう決定でしょこれはルルーシュお前は絶対に遅いと思ってたけど 意外とそうでもなかったってことで今度熱く語ろうついでに彼女にも会わせてくれなーに俺は会長一筋だから心配ないってルルーシュ・・・・・・ 勢いがついてしまった脳内マシンガントークは着陸地点を見失う。それだけ意外性と破壊力を備えた発言だったのだ。言った本人はまったく 気にしていないのだけれど。 ナナリーには言えないよね、と付け加えたスザクの声は、もはやリヴァルに届いてはいなかった。
a confused day 悩める少年 誤解に拍車が掛かる瞬間。 2008/ 7/ 9 up |